韓紙工芸というのは、

　伝統美と紙を利用した芸術品であり、生活用品でもあるというものだ。

　昔の韓国では、紙で様々な種類のものが作られていたことと、

　日本にはない紙工芸のことを知って頂きたいと思って、韓国の韓紙工芸のことをいうことにした。

　　韓国の紙と色

　　韓国の紙　―　韓紙の歴史と特徴

　　韓紙は、

　　今から1500年から1600年前に中国から韓国に伝わってきた。それと同じように日本へ伝わったものが、

　　日本の和紙である。韓紙は楮(コウゾ)などで作り、その質感は柔らかくて丈夫であり、

　　それに天然染料を利用して染色すると、きれいなので、多くの人々に愛される紙として発展してきた。

　　昔から、手から手に伝わってきているうちに、

　　韓国の伝統模様と色、韓国の民族固有の美意識と情が溶け込まれて、

　　当時の情緒の美しく漂う韓国の美をよく表している。

　　韓国の基本色とその意味

　　韓紙工芸の基本色として、東西南北を表す、韓国の伝統五方と中央の五つの方角として、

　　赤、青、白、黒、黄色がある。五方色というのは陰陽五行説に基づくものであり、

　　儒教とも、深い繋がりがある。

　　<赤>；南、禮、
　　　　　意味は楽しみを象徴し、完成した生命力を表す赤は、昔から、人々にとって
　　　　　厄を祓ってくれると信じられていた。その例として、韓国では赤ちゃんが生まれた時、
　　　　　赤い小豆で餅を作り、家で作って食べるのだが、醤油の中にも赤い唐辛子を浮かべて

　赤ちゃんには赤と青の服を着せるとたくさんの福が入ってくると信じられていた。
　　<青>；東、仁。
　　　　　喜びを象徴する。誕生と復活を意味する。
　　<白>；西、義。
　　　　　昔の韓国の農業生活において太陽を象徴し、金を意味する。

　　<黒>；北、智。
　　　　　悲しみを象徴する。
　　<黄>；中央、信。
　　　　　土を象徴し、欲望を表すという。

　　韓紙工芸

　　　昔と現代の韓紙工芸。

　　昔、

　　韓国の韓紙工芸というのは、韓国の身分制度とは関係なく、宮中から、一般の庶民たちまで、

　　身分を問わず使　われていた。柳やそのほかの木などまで白骨を絞って、紙を何枚も重ねて、

　　油を塗ったり、柿渋で作ったりした、紙という紙細工が多かった。特に、

　　女性たちが台所や居間で使う道具箱、箪笥、冠入れ、針箱、箱ものなど、その種類は多様で、

　　なくてはならない生活用品だった。耐久性に富み、軽く、そして柔らかい質感と色との調和によって、

　　多くの女性たちに使われてきた。昔は各種儀式が終わると、

　　その後、火をつけて燃やして捨てる風習があったので、現代まで残っている工芸品はあまりない。

　　現代の韓紙工芸というのは、

　　昔と違って、芸術品の一つとして脚光を浴びている。

　　先祖たちは生活の中で、紙で作ったものに自然物を取り入れ、想像の世界を表現する知恵を持っていた。